韓国では、心臓が停止したあとに亡くなった人も臓器を提供できる制度が導入されることになりました。これにより、提供の範囲が広がり、移植を待つ患者の負担軽減が期待されています。
政府は16日、臓器の提供や移植に関する総合計画を発表しました。その中核には、延命治療を中止したあと心臓の動きが止まった状態、いわゆる心停止後の臓器提供を認める制度が盛り込まれています。
これまで韓国では、脳の機能が完全に停止しても人工呼吸によって心臓が動いている「脳死状態」の人のみが臓器提供の対象とされてきました。このため、移植を待つ患者は平均で4年以上待機し、1日あたり8人以上が移植を受けられずに亡くなっていると指摘されています。
政府は、新制度の導入によって年間およそ200人が新たに臓器を提供できるようになると見込んでいます。
保健福祉部は、「アメリカやイギリスなど臓器移植先進国で一般化されている制度を導入し、臓器提供の文化を広げていきたい」と述べました。
専門家からも、「心停止後の提供が可能になれば、臓器提供者の数が増え、多くの患者が新たな命を得られる」として、制度導入を前向きに評価する声が上がっています。
この制度を実施するには、臓器移植法と延命医療決定法の改正が必要で、政府は来年中に関連法案を国会に提出する方針です。