アメリカ政府が、今月末に韓国・慶州(キョンジュ)で開かれるAPEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議を前に、韓国駐在アメリカ大使代理を交代させる方針を固めたことが分かりました。
外交関係者によりますと、ジョセフ・ユン大使代理は今月26日に離任する予定です。後任には、アメリカ国務省の東アジア・太平洋担当のケビン・キム国務次官補代理が就任する方向で調整が進められていますが、正式な決定には至っていません。
韓国系のキム氏は、かつて共和党の上院議員の補佐官を務め、トランプ政権の1期目では米朝対話の実務に関わった人物です。
ユン大使代理は昨年末、バイデン政権の下で任命され、ことし1月に赴任して以降、正式な大使が着任するまでの間、職務を代行してきました。
しかし、トランプ大統領のAPEC首脳会議出席のための韓国訪問を控えたこの時期での交代は、異例の人事だとの見方が出ています。
在韓アメリカ大使館では、通常、大使が不在の間は一人の大使代理が職務を代行しますが、
今回のように「代理から代理」へと交代するのは、きわめてまれなケースです。
交代の背景については、二つの見方が出ています。
一つは、韓米の関税協議をめぐり、ユン大使代理がトランプ大統領の意向を十分に反映できなかったとして、トランプ政権側が不満を示したためだという見方です。
もう一つは、トランプ政権の1期目で米朝首脳会談の実務を担ったキム氏を、
再び対北韓政策の実務責任者として起用し、今後の米朝間の接触再開に備える狙いがあるという分析です。