韓国の裁判所は、大手芸能事務所「SMエンターテインメント」の買収をめぐり、株価を不正につり上げた罪に問われたIT大手「カカオ」の創業者、金範洙(キム・ボムス)氏に対し、一審で無罪判決を言い渡しました。
ソウル南部地方裁判所は21日、資本市場法違反の罪で起訴された金氏について、「相場操縦に当たるとみるのは難しい」として無罪を宣告しました。
裁判所は判決で、「カカオによるSMエンタ株の売買は、買付比率や取引量などを総合しても、価格を固定する目的があったとは認められない」と指摘しました。
また、「カカオがSMエンタの買収を検討していたのは事実だが、必ずしも買収を進めなければならない状況ではなかった」として、「検察の主張する“秘密裏の経営権取得”とは言い難い」と判断しました。
金氏が当時「平和的に持ってこい」と発言した点についても、裁判所は「SMエンタをめぐり対立していた総合エンターテインメント企業『HYBE(ハイブ)』との争いを円満に解決する趣旨だった可能性が高い」と説明しました。
金氏は判決後、「この判決をきっかけに、カカオにかけられた疑いが晴れることを願う」とコメントしました。
検察は去年8月、金氏が2023年2月にHYBEによる株式公開買付を妨げる目的で、SMエンタの株価を12万ウォン以上に引き上げたとして起訴し、ことし8月には懲役15年と罰金5億ウォンを求刑していました。
裁判所は「相場操縦の意図が立証されなかった」として、検察の主張を退けました。
今回の無罪判決で、SMエンタ買収をめぐる疑惑はひとまず区切りがつきましたが、検察が控訴する可能性もあり、最終的な判断は2審に持ち越される見通しです。