中国が、域内の金融安全網を強化し、経済協力を深めるため、韓国・日本と、中国の人民元を基にした3か国間の通貨スワップの締結について協議していることがわかりました。
香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」が22日に報じたところによりますと、中国人民銀行の潘功勝総裁は、先週アメリカのワシントンで開かれたIMF=国際通貨基金と世界銀行の年次総会に出席した際、韓国銀行の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁、日本銀行の植田和男総裁と会談し、3か国間の通貨スワップの締結について協議したということです。
通貨スワップは、あらかじめ定めた為替レートで互いの通貨を交換できるようにする取り決めで、金融危機や急激な為替変動が起きた際に2国間で外貨を融通し合う仕組みです。
「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」は、「今回の動きは、人民元の国際的な利用を拡大し、ドル依存度を下げるとともに、韓日中3か国の自由貿易協定の推進にもつなげたい中国側の長期戦略の一環」と分析しています。
中国としては、国際金融秩序での人民元の影響力を高めたい狙いがあるとみられます。
3か国のGDP=国内総生産を合わせると、世界経済のおよそ4分の1を占めるうえ、韓国と日本は、去年の時点で中国にとってそれぞれ第4位と第6位の貿易相手国です。
3か国はいずれもすでに2国間で通貨スワップを結んでいます。
中国と韓国は、2002年の協定締結以降、規模を拡大し、現在、5年満期、4000億人民元、中国と日本は、去年10月に3年満期、2000億人民元の協定をそれぞれ結んでいます。
韓国と日本は去年12月に、3年満期、100億ドルの通貨スワップを再び結びました。
一方、3か国間の新たな枠組みがどのような形になるのか、また、2000年に発足した韓国、日本、中国が入ったASEAN=東南アジア諸国連合+3の多国間協定「チェンマイ・イニシアティブ」に含まれるかどうかは、いまのところ不透明です。
チェンマイ・イニシアティブは地域金融のセーフティーネットで、多国間による通貨スワップ協定の一つと言われています。
今後の議論は、26日からマレーシアのクアラルンプールで開かれるASEAN首脳会議とASEAN+3、東アジアサミットなどの場で続けられる見通しで、31日から韓国・慶州(キョンジュ)で開かれるAPEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議でも議題になる可能性があります。