韓国政府は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権による大統領室の龍山(ヨンサン)への移転が、2022年にソウル・梨泰院(イテウォン)で起きた転倒事故の被害を拡大させた一因となったとする監査結果を発表しました。政府は、関係公務員62人に対して懲戒など相応の責任を問う方針です。
政府の「梨泰院惨事合同監査タスクフォース(TF)」は23日、国務調整室と警察庁、行政安全部が7月から実施してきた監査の結果を明らかにしました。
梨泰院転倒事故は、2022年10月29日、ハロウィーンで混雑していた梨泰院で起きた事故で、日本人2人を含む159人が死亡する大惨事となりました。
監査結果によりますと、事故当日、警察は大統領室近くで開かれた集会に警備要員を集中させた一方、梨泰院一帯には全く配置していなかったということです。
尹政権は2022年5月、青瓦台からソウル・龍山の国防部庁舎に大統領室を移転したため、周辺の警護・警備体制が大きく再配置されていました。
タスクフォースは、「予想されていた大規模な人出に対し、警察の事前対応が明らかに不十分であり、こうした人員配置が事故の対応に影響を及ぼした」と指摘しました。
また、事故後1年間にわたり警察が行った特別監察についても、「事実関係の確認より内部の責任逃れに重点が置かれ、指揮部への調査が不十分だった」として、手続きと内容の双方で問題があったと結論づけました。
今回の監査で指摘された公務員62人のうち、51人は警察庁所属、11人はソウル市庁と龍山区庁の職員です。
政府はこの監査結果を踏まえ、関係者への懲戒と処分を進めるとともに、遺族と国民の疑念を解消していく方針です。