2022年に発生したソウル・梨泰院(イテウォン)での雑踏事故から3年を迎え、25日、遺族と政府が初めて合同で主催する追悼式が行われました。
式典は、犠牲となった159人の名前を一人ずつ呼び上げる「呼名式」から始まり、黙祷、追悼の言葉、追悼公演が続きました。
今回の追悼式は、遺族協議会と韓国行政安全部、ソウル市が共同で開催したもので、金民錫(キム・ミンソク)国務総理をはじめ、政府の主要関係者も出席しました。政府関係者と遺族が公式の場で顔を合わせるのは、これが初めてです。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権当時は、追悼式が政治的論争に発展するおそれがあるとして、政府関係者の出席が見送られてきました。
遺族らは、「いまだに誰も責任を取らない現実の中で悲しみに向き合っている」と述べ、徹底した真相究明と透明な調査を改めて求めました。
金国務総理は追悼の辞で「梨泰院の雑踏事故は単なる不慮の出来事ではなく、公的責任とセーフティーネットの崩壊が招いた災害だ」としたうえで、「真相究明と責任者の処罰を求める遺族の前で、私たちはまだ自由ではない」と語りました。
式典に先立ち、遺族らは事故現場となった梨泰院の路地を訪れ、犠牲者を追悼しました。
また、政府の招きで外国人犠牲者の遺族46人も式典に参加し、行進に加わって互いを慰め合いました。犠牲者159人のうち外国籍は26人で、このうち21人の遺族が今回の追悼式に出席しました。遺族らはこれまで情報不足や言葉の壁により困難を抱えてきたとして、韓国政府に対し、きめ細かな支援を要請しました。
一方、事故が発生した10月29日には、ソウル・光化門(クァンファムン)広場で別の追悼式が開かれ、ソウル全域では1分間、犠牲者を悼むサイレンが鳴り響く予定です。