アメリカのトランプ大統領は、今月29日から30日にかけての韓国訪問を前に、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と会談する場合、北韓に対する制裁の緩和についても協議できるとの考えを初めて示しました。
北韓に対して相次いで「対話の呼びかけ」を行っているトランプ大統領の発言に、北韓がどう反応するか注目されています。
トランプ大統領は27日、日本に向かう専用機内で記者団に対し「我々には制裁がある。これ以上の交渉カードがあるだろうか」と述べました。これは、第1次トランプ政権の際に掲げた「非核化と制裁解除の交換」という方針を再び持ち出したものと受け止められます。
しかし、現在、北韓は非核化を拒み、ロシアや中国との関係を強化して制裁の効果を弱めていて、制裁の緩和だけで交渉の再開につなげるのは難しいとの見方が広がっています。
専門家らは、トランプ大統領が北韓を対話へと導く「呼び水」として制裁の緩和に言及したものと分析していますが、実質的な非核化の措置を引き出すには限界があると指摘しています。
金委員長はことし9月、「制裁解除のための交渉は今後も行わない」と述べ、その可能性を一蹴しました。
一方、一部では「トランプ政権下で交渉を行えば、事実上の核保有国として認められる可能性がある」との見方も出ています。
また、トランプ大統領は今回の外遊中も北韓について「ある種の核保有国」と表現し、事実上、核保有を容認するかのような姿勢を示しました。
専門家の間では、今回の発言が北韓の出方をうかがう狙いや、今後の首脳会談の価値を高めるための布石である可能性も指摘されています。