APEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議が31日、韓国南東部の慶州(キョンジュ)で公式に開幕しました。
開幕式会場の周辺には、21の国と地域の国旗が掲げられ、厳重な警備のもと、伝統芸能の公演や歓迎行事が行われました。
李在明(イ・ジェミョン)大統領は議長国の首脳として開幕式に出席し、各国の代表を自ら出迎えました。
「持続可能な未来の構築」をテーマに開かれたことしの会議では、「連結」「革新」「繁栄」の3つが主要議題として取り上げられます。
議長国である韓国政府は、とくにAI=人工知能分野における協力と人口構造の変化への対応を主要テーマとして掲げました。
初日のセッションでは、貿易と投資の促進に向けた協力策が、2日目のセッションではAIの発展や人口構造の変化の中で新たな成長エンジンを模索する議論が行われる予定です。
アメリカのトランプ大統領は、国内の日程のため出席しませんが、アメリカ代表団が代わって参加し、主要議題の協議に加わります。
トランプ大統領を除いては、中国の習近平国家主席をはじめ、21の加盟国のほとんどの首脳レベルの関係者が出席しました。
今回の会議の最大の焦点は、最終文書である「慶州宣言」の採択が実現するかどうかです。
「慶州宣言」は、APECの首脳が今後1年間の共通経済ビジョンと協力の方向性を示すもので、採択されれば、コロナ禍以降、初めての全会一致による共同声明となる見通しです。
趙顕(チョ・ヒョン)外交部長官は30日のブリーフィングで、「慶州宣言の採択に非常に近づいている」と述べました。
ただ、APECの核心的価値である「自由貿易」という文言を共同声明にどのように盛り込むかをめぐって、加盟国の間で慎重な調整が続いています。
これまでAPECは自由貿易の重要性を強調してきましたが、最近、アメリカが保護貿易の姿勢を強めていることから、意見の調整は容易ではないとの見方も出ています。
ことし5月の通商相会議でも、「保護貿易に反対する」という文言をめぐって、アメリカ側が異論を示した経緯があります。
今回の会議では、11月1日までの2日間、本会議や歓迎晩餐会などが行われます。
会議が行われている会場の慶州和白(ファベク)コンベンションセンターの一帯では交通規制が強化され、早朝から各国の首脳団を迎える慌ただしい動きが続きました。
首脳会議は、11月1日、共同声明の発表をもって締めくくられ、議長国の韓国は来年の開催国である中国に議長職を正式に引き継ぎます。