アメリカのトランプ大統領と中国の習近平国家主席が妥結した米中貿易合意の影響で、韓国の造船大手、ハンファオーシャンのアメリカに拠点を置く子会社に中国が科した制裁を撤回する可能性が指摘されています。
ホワイトハウスが現地時間の1日に公表した、米中首脳会談の合意事項をまとめた説明資料「米中貿易合意のファクトシート」によりますと、中国はアメリカの「通商法301条」の調査に対する対抗措置として実施していた海運・物流・造船産業に関する制裁を撤回する方針です。
1974年成立した「通商法301条」は、外国の不公正な貿易慣行に対して、アメリカが独自に報復措置を講じる権限を定めた法律です。
中国は最近、アメリカの調査に対抗する形で一部の外国の海運・造船企業に対して制裁を課してきたとされ、韓国のハンファオーシャンもその影響を受ける可能性があると指摘されました。これについてアメリカは、「経済的な威圧を行使する行為だ」と批判しました。
しかし、今回の合意を受け、アメリカも中国の海運・造船産業を対象にした「通商法301条」関連の制裁を1年間停止することになりました。ホワイトハウスは、韓国や日本との造船分野での協力を続けつつ、中国との追加の協議を進めていく考えを示しています。
また、中国は10月に発表したレアアースの輸出規制措置を停止し、アメリカとその関連企業に包括的な輸出許可を発給することも発表しました。さらに、合成麻薬のフェンタニルの製造に使われる化学物質の北米向けの出荷を禁止し、半導体関連のアンチダンピング調査も終了する方針です。
加えて、中国は今年中にアメリカ産の大豆1200万トンを追加で購入し、今後3年間は毎年2500万トンを購入することでも合意しました。
これに対応し、アメリカは中国に課している一部の関税を10ポイント引き下げ、緩和した関税率を来年11月まで維持する方針です。
ホワイトハウスは今回の合意について、「両国の経済的な緊張緩和とサプライチェーンの安定に向けた重要な前進だ」と評価しています。