韓国の研究チームが、韓国人の認知症患者の遺伝子情報を分析し、認知症を防ぐ物質の働きを明らかにしました。
韓国疾病管理庁の国立保健研究院は、「SORL1」という遺伝子が脳内でベータアミロイドというタンパク質の蓄積を防ぐ役割を果たしていることを確認したと発表しました。ベータアミロイドは、アルツハイマー病、すなわち認知症を引き起こす主な原因とされています。
これまでこの分野の研究は、主にヨーロッパ人を対象に行われてきましたが、今回の研究は韓国人を対象としており、アジア人に適した治療法開発への第一歩になると期待されています。
また、複数の遺伝的変化が同時に存在すると認知症にかかるリスクが高まるという「累積効果モデル」も新たに提示されました。これは、個々人が持つ遺伝子の組み合わせによって、発病の可能性が異なることを意味します。
今回の成果について疾病管理庁は、国家レベルで長期的に人々の健康情報を収集・追跡する「コホート研究」の成果を示す事例だと説明しました。
今後、このようなデータを基に、認知症をより早く予測し、個人に適した治療法を見つけることができると期待されています。