尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領は、2023年に発生した海兵隊員の殉職事故をめぐり、大統領室が捜査に介入した疑惑に関連して11日、特別検察官チームの取り調べを受けました。
この事件は、2023年の夏、韓国南東部の慶尚北道(キョンサンブクト)醴泉(イェチョン)郡で、集中豪雨による行方不明者の捜索のため、海兵隊のチェ・スグン上等兵が、安全装備を身につけていない状態で出動させられ、急流に巻き込まれて命を落とした事故から始まりました。
当時、海兵隊の捜査団は、上官らの安全措置が不充分だったとして数人の将校を立件しましたが、報告を受けた尹前大統領が「軍全体に負担となる」として、捜査結果の回収と修正を指示したという疑惑が持ち上がりました。
また、尹前大統領が、当時の国防部長官だった李鍾燮(イ・ジョンソプ)氏を捜査対象から外すため、外交部関係者と協議し、オーストラリア駐在大使に任命して出国させようとしたという疑惑も浮上しています。
尹前大統領は、自身に対する高位公職者犯罪捜査処の逮捕状執行を妨害した疑いで、ことし7月に拘束されています。
特別検察官チームは、尹前大統領が捜査介入や李鍾燮氏の出国を主導したとされる疑惑について集中的に調べています。
この過程で、外交部、法務部、大統領室の国家安保室など関係機関の高官を相次いで呼び出し、4か月にわたる捜査を通じて事実関係と主要な証拠を相当程度、把握したとみられています。
特別検察官チームは、尹前大統領の取り調べを終えたあと、起訴するかどうかを最終的に判断する方針です。
尹前大統領は、これまで2回にわたる出頭要請に応じませんでしたが、3回目の通知を受けてこの日午前、ソウル瑞草(ソチョ)区の特別検察官事務所に出頭しました。
特別検察官チームは今回の取り調べを通じて、事件の全容と責任の所在を明らかにしたい考えです。