韓国の名門大学である高麗(コリョ)大学と延世(ヨンセ)大学で、オンラインで行われたテストで不正行為が相次いで発覚しました。
AIの急速な普及と大規模なオンライン授業の拡大が重なり、大学の教育倫理が揺らいでいるという指摘が出ています。
新型コロナウイルスの流行以降、韓国の大学ではオンライン授業が急増し、数百人規模の大規模な講義が普及しました。
こうしたなか、先月25日に行われた高麗大学の教養科目の中間テストで、テキストやビデオ、音声をやり取りする「カカオトーク」のオープンチャットルームを通じてテスト問題の画面を共有し、解答をやり取りしていたことが明らかになりました。
これを受けて大学側は先月27日、告知を出し、不正のあったテストを全面的に無効としたうえで、関係した学生の懲戒手続きを検討しています。
この授業は、受講者が1400人を超える大規模なオンライン講義です。
一方、延世大学でも11月上旬、AI関連の科目で同様の不正行為が発覚しました。
この授業は、自然言語処理や大規模言語モデルなど、生成AIを扱うオンライン講義で、教授は不正防止のため、学生にテストの問題を解く様子を手と顔が映るように撮影して提出するよう求めていました。
しかし、一部の学生が撮影角度を調整して死角を作ったり、画面上に複数のプログラムを重ねて表示したりするなどして、AIを利用した不正を行っていたということです。
専門家らは、こうした事例は学生個人の倫理問題にとどまらず、大規模講義やオンライン評価の構造的な限界を示していると指摘しています。
そのうえで、AI技術の進化は止められないだけに、正しい活用を前提とした倫理教育と制度の整備が急務だとしています。