ネットフリックスのオリジナル韓国ドラマ「イカゲーム」で「カンブおじいさん」ことオ・イルナム役を演じた高齢俳優のオ・ヨンス氏が、女性劇団員への強制わいせつの罪に問われた裁判の控訴審で、無罪判決を言い渡されました。
 
韓国の水原（スウォン）地方裁判所は11日、オ氏の控訴審判決で、懲役8か月、執行猶予2年とした一審判決を破棄し、無罪を言い渡しました。
 
地裁は、被害者の供述や加害者の謝罪メッセージなどを踏まえると、強制わいせつがあったのではないかとの疑いはあるものの、時間の経過により被害者の記憶が歪められた可能性があるほか、証拠が不十分であるため、有罪を認めるのは難しいと判断しました。
 
また、オ氏が被害者に謝罪したのは、当時「イカゲーム」が世界的な成功を収めたため、社会的に波紋が広がるのを懸念して行った礼儀上の行為と見ることができると説明しました。
 
被害者が主張した抱擁の強さや頬にキスしたという内容についても、具体的な証拠がなく、強制わいせつと断定するのは難しいと付け加えました。
 
オ氏は判決直後、「賢明な判断を下してくださった裁判所に感謝します」と述べました。
 
一方、被害者側は「今回の無罪判決は、性暴力の権力構造を強化する恥ずべき宣告だ」と強く反発しました。
 
オ氏は2017年、演劇公演のため地方に滞在した際に女性劇団員を抱きしめ頬にキスをした疑いで2022年に在宅起訴され、検察は懲役1年を求刑していました。