韓国政府は、AI=人工知能の活用と規制を包括的に定める「AI基本法」の施行令案を公開しました。
この法律は来年1月22日に施行される予定で、国家レベルのAIに関する包括的な法制度が具体化されるのは今回が初めてです。
柱は「透明性」と「安全性」です。
AIが生成したものなのか、人間が創作したものなのか区別が難しい場合、事業者は、成果物がAIによって生成されたものであることを明確に表示しなければなりません。
例えばニュース記事や写真、音声などが生成型AIによって作られた場合、利用者がわかるように表示する必要があります。
また、人権や社会への影響を評価する「AI影響評価制度」も導入されます。
企業がAIを活用する際に、個人情報の侵害や差別の可能性がないかを独自で点検し、その結果を報告する仕組みです。
今回の施行令は、規制よりも産業育成に重点が置かれています。
AI企業が制度に無理なく適応できるよう、少なくとも1年間は過料を科さない方針で、政府は相談センターを設け、企業からの問い合わせに応じる計画です。
韓国科学技術情報通信部は、「今回の施行令は、韓国が世界的なAI強国へと飛躍するための制度的基盤となる」としたうえで、「EU=ヨーロッパ連合や日本のようにAIの安全性を確保しつつ、産業革新を同時に推進していく」と述べました。
EUはすでに「AI法」を制定し、リスクの高いAIを厳しく規制しており、日本でも生成型AIの表示の義務化や関連制度の導入が検討されるなど、「安全と革新の両立」を目指す動きが進んでいます。