韓国政府が尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領が発令した「非常戒厳」に関連して、公職者が違法行為に関与したかを調査するためのタスクフォースの設置を推進したことを受け、野党が政治報復だとして強く反発しています。
最大野党「国民の力」は、「特別検察官がすでに内乱容疑で捜査を進めているのに、政府がタスクフォースを別途設けるのは李在明(イ・ジェミョン)政権による粛清であり、文在寅(ムン・ジェイン)政権当時の『積弊の清算』の第2弾だ」と批判しました。
「積弊の清算」とは、文在寅政権初期に朴槿恵(パク・クネ)元大統領の親友の国政介入に関する一連の事件の後、公職者や司法界の不正を正すとして、大規模な捜査と人事措置を行った政策で、当時保守陣営は政治報復だとして反発していました。
「国民の力」はまた、「今回のタスクフォースも同じ手法で公職者を統制しようとするものだ」としたうえで、「個人資料提出の要求や人事上の不利益などで内部の対立が深まるだろう」と主張しました。
これに対し政府は、「特別検察官の捜査は犯罪容疑を扱う司法手続きである一方、タスクフォースは行政的責任を点検する内部調査で、性格が異なる」としたうえで、「重複捜査ではなく、公職者組織の整理レベルの措置だ」と説明しました。
今回のタスクフォースは、非常戒厳に関与したと指摘される人物が昇進名簿に載っているとの問題提起を受けて構成されたもので、来年1月までに調査を終える計画です。
非常戒厳は、国の非常事態に軍が治安維持の権限を担う制度で、去年、一部の軍幹部が全国的な非常戒厳の発令を試みた疑いで捜査を受けています。