韓国とアメリカの間の関税や安全保障をめぐる交渉の最終合意の内容をまとめた「ファクトシート」が公表されました。文書には、アメリカが韓国の原子力推進潜水艦の建造を正式に承認し、ウラン濃縮や使用済み核燃料の再処理につながる手続きを支持すると記されました。
李在明(イ・ジェミョン)大統領は14日、ソウル龍山(ヨンサン)の大統領室で記者会見し、アメリカとの合意内容をまとめた「ファクトシート」を公表しました。この中で李大統領は、「韓米双方が常識と理性にもとづいた最善の結果を作り上げた。韓米同盟のルネサンスの扉が大きく開かれた」と評価しました。
李大統領とトランプ大統領は、先月29日に慶州(キョンジュ)で開かれた韓米首脳会談で関税・安全保障の主な争点で合意していて、それから16日後の最終合意となります。
韓国政府とアメリカのホワイトハウスがホームページに公開した「ファクトシート」によりますと、まず安全保障面では、韓国が長年アメリカに求めてきた「韓国の原子力推進潜水艦の建造」をアメリカが正式に承認したと明記しています。
さらに、アメリカの法的要件を遵守する範囲内で、韓国のウラン濃縮、使用済み核燃料の再処理につながる手続きを支持するとも記されました。
これは、韓米の原子力協力で大きな前進であり、韓国が長く求めてきた核燃料サイクルの技術分野での重要な進展として評価されています。
また、今回の合意には、韓国駐留アメリカ軍に関する大規模な支援計画も含まれています。
韓国は、韓国駐留アメリカ軍のために総額330億ドルの包括的支援を提供し、2030年までにアメリカ製の軍事装備を250億ドル分購入すること、また、国防費をGDP=国内総生産の3.5%まで早期に引き上げることで合意しました。
アメリカは、自国軍の韓半島での継続的な駐留と、韓国に対する拡大抑止への公約を改めて確認し、韓米間の戦時作戦統制権の移管に関する協力も継続することにしました。
一方、通商分野で注目を集めた韓国産自動車や部品への関税は、25%から15%へ引き下げられることになりました。
韓国の中核戦略産業である半導体についても、他国より不利にならない条件を韓国に適用する方針が明記され、事実上の「最恵国待遇」を確保したという評価が出ています。
また、アメリカの関税引き下げを引き換えに行われる韓国側の対米投資については、戦略投資分野に2000億ドル、造船業に1500億ドルを投じるという従来の了解覚書(MOU)の内容がそのまま明記されました。ただ、韓国の為替市場の安定を踏まえて、MOUに基づく投資は、年間200億ドルを上限とすることで合意しました。