韓国のサムスンと現代(ヒョンデ)自動車グループが、今後5年間でそれぞれ450兆ウォン、125兆2000億ウォンと、過去最大規模となる国内投資を行う方針を明らかにしました。
こうした発表は、韓米政府が14日に関税合意の共同文書、ファクトシートを発表したことを受け、李在明(イ・ジェミョン)大統領が主要企業のトップらと16日に大統領室で懇談した直後に行われました。
韓米の関税協議では、韓国が3500億ドル規模の対米投資を行うことを条件に、アメリカ側が関税の引き下げに応じることで合意しています。このため、国内投資が手薄になるのではないかという懸念も出ていました。
懇談会には、サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)会長、SKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長、現代自動車グループの鄭義宣(チョン・ウィソン)会長、LGグループの具光謨(ク・グァンモ)会長らが出席しました。
李大統領は、「対米投資が増えると、国内投資の縮小につながるのではないかという懸念がある」と述べ、国内での積極的な投資を要請しました。
サムスンは今後、AIやデータセンター、次世代バッテリーなどの未来産業に重点的に投資するとしていて、現代自動車グループも2026年から2030年までの5年間、AIやロボティクス、再生可能なグリーンエネルギー分野を中心に投資を進める計画です。
また、SKやLGも既存の投資計画を維持し、国内投資と雇用創出に取り組む姿勢を示しています。
韓米のファクトシートでは、半導体について、他国より不利にならない条件を適用する方針が明記され、事実上の「最恵国待遇」が適用されるほか、自動車と自動車部品の関税率を25%から15%に引き下げることが盛り込まれていて、今回、懇談会に参加した主要企業らがその恩恵を享受する形になりました。
企業側は「関税をめぐる不確実性が解消された」として、国内への投資を積極的に進める考えを示しました。