北韓は、韓米首脳会談の共同文書について、韓米両国が対立姿勢を公式に示したものだと反発し、今後、現実的な対応に踏み切る可能性があると警告しました。
北韓は18日、朝鮮中央通信の論評で、韓米の間で合意した関税・安全保障交渉の内容をまとめた「ファクトシート」と、韓米安保協議会の共同声明が敵対的な意図を示したものだと主張しました。
また、韓米が「韓半島の完全な非核化」ではなく「北韓の完全な非核化」という表現を用いたことについては、「国家としての実体を否定するものだ」と反発しました。
さらに、2018年シンガポールでの米朝首脳会談で合意した「韓半島の非核化と北韓の安全保障」に言及したことに対しては、「アメリカがすでに破棄した合意を引っ張り出した恥知らずな行為だ」と非難し、非核化を前提とする対話には応じないという従来の立場をあらためて示しました。
一方、韓国の原子力推進潜水艦の建造をアメリカが承認したことについては、地域の安全保障を不安定にし「核ドミノ」を誘発しかねないと批判しました。
そのうえで、北韓はアメリカがアジア太平洋地域にNATO=北大西洋条約機構式の安全保障体制を構築しようとしているとして、中国やロシアと連携する可能性に言及しました。また、台湾海峡の安定や航行の自由を強調した部分についても、中国寄りの批判を展開しました。
今回の論評は、「ファクトシート」公表から4日後に出された、北韓の初の公式反応ですが、当局者による談話ではなく論評の形式であり、トランプ大統領や李在明(イ・ジェミョン)大統領を直接批判する内容もありませんでした。
労働新聞にも掲載されなかったことから、国内向けのメッセージではないとの見方が出ています。
専門家らは、北韓が感情的な反応を控えつつ、韓米の新しい政権の政策路線を長期的な観点から見極めようとしているのではないかと分析しています。