韓国政府は、ウォン相場の急速な下落を受けて、国民年金を通じた為替安定策として、為替の変動によるリスクを回避する「戦略的な為替ヘッジ」を検討しています。
政府は24日、企画財政部、保健福祉部、韓国銀行、国民年金が参加する協議体を立ち上げ、国民年金の海外投資のスケジュールが為替市場に及ぼす影響を点検しました。政府が為替対策を検討するうえで、国民年金を含む協議体が設けられたのは、今回が初めてです。
24日のソウル外国為替市場で、ウォン相場は1ドル=1477.1ウォンで取引を終え、前の日より1.5ウォン、ウォン安が進みました。ウォンの価値としては、ことし4月9日以来の低い水準です。
政府は、最近の急激な為替レートの上昇の背景には、個人投資家に加え、国民年金による大規模な海外株式の買い付けも一部影響しているとみています。国民年金は、基金全体の4割近くを海外株式に投資していて、海外投資を行うためには大量のドルを購入する必要があり、これがウォン安に影響する可能性があります。
こうした状況を受け、政府は為替レートが一定の基準を超えた場合、国民年金が保有するドル資産の一部を売却する「戦略的な為替ヘッジ」も検討しています。ドルの供給が増えればウォンの価値が上がり、為替レートが下落する効果があるためです。
ただ、国民年金基金の収益率が揺らぎかねないとの指摘もあり、国民の老後を支える国民年金を動員することへの懸念も少なくありません。