韓国の監査院は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前政権が進めた医学部の定員を2000人増やす政策について、増員規模の算定と協議の手続き全般に不備があったとする中間監査結果を発表しました。
医学部の定員問題は前の政権から議論が続いてきた長年の懸案で、尹前大統領は就任以降、一貫して増員方針を強く示してきました。
韓国政府が去年、医学部の定員を3058人から5058人に引き上げると発表したことで、研修医の離職や医学生の集団休学など、医療界の反発がさらに強まりました。
監査院によりますと、曺圭鴻(チョ・ギュホン)前保健福祉部長官は医療界の反発を踏まえ、複数回にわたって「段階的増員」を提案しましたが、大統領室はこれを受け入れず、「2000人一括増員」を維持していたことがわかりました。尹大統領は「1000人以上増やすべきだ」として、段階的増員を繰り返し拒否したということです。
また、政策を決定する手続きにおける問題も指摘されました。
医学部増員を審議すべき保健医療政策審議委員会は形式的に開催されるにとどまり、大学ごとの定員配分も現場の実態確認を行わず、書面審査だけで進められたことが明らかになりました。
監査院は保健福祉部に対し、より正確な医師の需給推計に基づいて定員調整の仕組みを整えるとともに、今後増員を進める際に今回の監査結果を参考にするよう通知しました。