韓国では過去5年間、給与の伸びを上回るペースで税金や社会保険料、必須生活費の物価が上昇し、労働者の負担が一段と重くなっていることがわかりました。
韓国経済人協会の調査によりますと、2020年からことしまでの労働者の月給は年平均3.3%増加しましたが、給与から控除される税金と社会保険料は年平均5.9%上昇しました。
その結果、税金と社会保険料の負担の割合は12.7%から14.3%に上昇し、月平均の手取り額は307万9000ウォンから355万8000ウォンへ、年平均2.9%の増加にとどまりました。
中でも、勤労所得税は年平均9.3%上昇し、負担の増加を招く主な要因となっています。
また、韓国では課税標準の区分が物価に連動して自動調整されないため、賃金の上昇に伴ってより高い税率の区分に入ってしまい、結果として賃金の上昇に比べて税負担が増えることになっているという指摘があります。
さらに、生活費の上昇も実質賃金を押し下げています。電気・ガス・食料品・外食費など必須生活費の物価は年平均3.9%上昇し、賃金の伸びを上回りました。
中でも、水道・光熱費が6.1%、食料品・非酒類飲料が4.8%、外食は4.4%上昇し、電気・ガス・エネルギーなど光熱費は賃金より2倍以上速いペースで増えました。果物・畜産物・加工食品など日用品の物価も大きく上昇しています。
韓国経済人協会は、労働者の可処分所得を高めるため、所得税の物価連動制の導入や社会保険料の抑制、農水産物の流通構造の改善などを提言しています。