北韓の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は、地方の工場の建設現場を視察し、この2年でおよそ40の市と郡で工場が建設された地方開発事業の成果を強調しました。
北韓は去年、毎年20の郡で地方インフラ施設を整備し、10年以内に生活水準を高めるとする「20×10政策」を発表しました。
これは、食料品や衣類、日用品など生活必需品を地域で生産し、自立の基盤を強める地方工業政策を中心に進められてきました。
金委員長は視察で、食糧工場の工程管理や品質の問題を指摘して改善を求め、新たに建設された紙工場では、国家科学院が進める製紙技術の開発計画を評価しました。
また、すべての道が次の5か年計画に合わせて現代的な紙工場の建設案を具体化すべきだと指示しました。
こうした開発事業は当初、地方工場の整備が中心でしたが、最近では病院や温室農場、発電所など生活・医療・エネルギー分野にも広がり、地方のインフラ全体を引き上げる総合開発へと発展しています。
北韓は、住民生活の改善を金正恩体制の主要な成果として位置づけようとしていて、軍がこれを後押しすると強調しました。
金委員長の相次ぐ視察には、来年初めに開催が予想される党大会に向け、成果を整理する狙いもあるとみられます。