韓国政府が北韓との対話の必要性を強調し、融和的な姿勢を続けるなか、最近、アメリカのケビン・キム韓国駐在大使代理が外交・安全保障当局者と相次いで面会し、対北韓制裁の維持や合同軍事訓練の必要性を強調し、北韓に対しるアプローチで韓米間で温度差が生じているのではと注目が集まっています。
韓国とアメリカはいずれも、北韓と対話する意思を繰り返し表明してきました。
韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は、「北韓が避けるのであれば、追いかけてでも話しかける」と述べ、また、アメリカのトランプ大統領も、「金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と会いたい」と発言しています。
しかし、対話に向けたアプローチの仕方には違いがあります。
最近、韓国政府は、「非核化を迫る」という印象を弱め、北韓を刺激しないため、従来の「非核化」という表現の代わりに「核のない韓半島」という言い回しを使用しています。
また、韓国側は対話の雰囲気づくりとして、韓米合同の野外機動訓練の一部を延期するなど、融和的な措置をとってきました。
これに対して、アメリカは、北韓への圧力を維持しつつ、北韓を対話の場に引き出すという従来の方針を続けているとみられています。
ケビン・キム大使代理が最近、韓国の外交・安全保障当局者と相次いで面会し、北韓に対する制裁の維持や合同軍事訓練の必要性、北韓の人権問題を強調したのも、この流れの一環とみられています。
韓国政府はこうした発言について、「(韓国に対する)抗議ではなく、通常の意見交換であり、韓米間の食い違いとは受け止め難い」と説明しています。
外交部は、定例の政策協議を通じて対北韓政策を緊密に調整していく方針です。
ただ、対北韓政策でアメリカとの調整が十分になされないまま韓国政府が融和的措置を続ける場合、韓米間の食い違いが本格的に浮き彫りになることも懸念されています。