旧統一教会が政治家を不正に支援したとされる疑惑について、李在明(イ・ジェミョン)大統領は10日、与野党を問わず厳正に捜査するよう指示しました。
最近、旧統一教会が最大野党「国民の力」だけでなく、与党「共に民主党」の関係者にも資金を提供していたという疑惑が浮上し、捜査の偏りをめぐる論争が広がっていたことが背景にあります。
大統領室によりますと、特定の宗教団体と政治家の不正関与の疑惑について、与野党や地位の高低を問わず厳正に捜査するよう大統領が指示したということです。
宗教団体名には触れていませんが、政界では旧統一教会を念頭に置いた発言だという見方が出ています。
今回の指示は、前日の閣議での大統領の強硬な発言とも重なり、注目されています。
李大統領は9日、「法人であっても、憲法や法律に反する反社会的・非難される行為を行えば解散すべきだ」と述べ、宗教団体の解散可能性に言及しました。
曺源徹(チョ・ウォンチョル)法制処長は、民法第38条にもとづき、宗教団体が組織的に重大な違法行為を続ける場合、所管官庁である文化体育観光部が設立許可を取り消すことができると説明しました。
政界では非難の応酬が続いています。
「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)前代表は李大統領の発言について、与党の「われわれに金を渡したと言ったら、殺すという公然とした脅迫だ」と批判しました。
これを受けて、李大統領が翌日に、与野党問わず捜査するよう指示したのは、「偏った捜査」という論争を封じる狙いがあるとみられています。
ただ、旧統一教会の解散が実現するかどうかは依然として不透明です。
日本では、宗教法人法にもとづき、裁判所が解散命令を出すことができますが、韓国では所管官庁が許可取消を行い、その後、行政訴訟に進む構造となっているため、裁判での争いと政治的論争が長期化する可能性も出ています。