アメリカのシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)は9日、中国が韓国との間で締結した韓中漁業協定に違反し、両国のEEZ=排他的経済水域が重なる、韓半島西の海、西海(ソヘ)上の暫定水域(PMZ)付近に、16の海上構造物を一方的に設置したと明らかにしました。
戦略国際問題研究所は、武力攻撃に至らない手段で圧力を加える、いわゆる「グレーゾーン」戦略と位置づけ、アメリカが同盟国とともに協力に対応すべきだと指摘しました。
研究所のビクター・チャ氏は寄稿文で、中国が2018年以降、暫定水域付近にブイ13基、深海養殖場2基、統合管理プラットフォーム1基を、韓国との事前協議なしに設置したと述べました。
これは、暫定水域を設定した際の2001年の韓中漁業協定で禁じている「恒久的施設の設置」条項に反するものです。
構造物の一部には、太陽光パネルが設置され、軍事的転用が可能な軍民共用施設だという分析も出ています。
韓国の調査船が構造物の位置を確認しようと試みましたが、2020年以降の135件の試みのうち、27件が中国海洋警察に阻止され、ことし初めには韓国の調査船が中国海警と対峙する事態もあったと、研究所は指摘しています。
ビクター・チャ氏は、「南シナ海の問題も当初は深刻に受け止められていなかった。中国が西海で段階的に主権を広げる手法は、かつての南シナ海での戦術と似ている」と警告しました。
また、「韓国はアメリカ、日本、フィリピンなど、関係国と多国間の協力を進めるべきだ」と提案しました。