北韓で特権階級を中心に、最新の折りたたみ式スマートフォンを使用する場面が捉えられました。国連安全保障理事会の制裁違反の可能性も指摘されています。
北韓国営の朝鮮中央通信が14日、報じた平安北道(ピョンアンブクト)亀城(クソン)市病院の竣工式の写真には、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の妹、金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長が右手にスマートフォンを握る様子が写っています。
写真ではメーカーは確認できませんが、外観から中国のスマートフォン大手「オナー」が「世界で最も薄い折りたたみ式スマートフォン」という謳い文句で発売した「マジック」シリーズとみられます。
北韓の立場を代弁する在日本朝鮮人総連合会の機関紙「朝鮮新報」は、北韓も独自ブランドのスマートフォンを生産していると報じています。
しかし、アメリカのシンクタンク「スティムソン・センター」の研究員が去年、アメリカの北韓専門メディア「38ノース」に公開した報告書によりますと、北韓で販売されているスマートフォンはすべて中国企業が生産しており、北韓メーカーはこれをOEM=相手先ブランドによる生産方式で供給を受けています。
国連安保理の対北韓制裁決議は、電子機器製品の対北韓輸出入を禁じているため、金副部長が持っていたスマートフォンも中国から輸入されたものである場合、制裁違反となります。
一方、北韓メディアが報じた写真に「折りたたみ式スマートフォン」が露出したのは今回が初めてではありません。
2023年7月、ICBM=大陸間弾道ミサイル「火星(ファソン)18」の試験発射の場面を見守る金委員長が座るテーブルの上には、上下に折りたためるスマートフォンが置かれていました。