逮捕妨害の罪に問われている尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領に対する刑事裁判の判決が、来年1月16日に言い渡される見通しとなりました。
今回の判決は、尹前大統領が抱える複数の刑事裁判のなかで、初めて示される司法判断となるため、注目が集まっています。
ソウル中央地方裁判所は、逮捕妨害事件について、「内乱特検法の適用対象であり、起訴から6か月以内に1審判決を出さなければならない法定期限がある」として、これ以上の先送りは難しいとの判断を示しました。
これに対し、尹前大統領は、内乱罪をめぐる裁判の判決が先に行われるべきだとして反発しました。内乱罪で無罪となった場合、逮捕妨害事件の判断にも影響を及ぼす可能性があると主張しています。
しかし裁判所は、事件ごとに独立して判断すべきだとして、この主張を退けました。
今回の判決日程が注目される背景には、判決の時期によって尹前大統領の身柄の扱いが変わる可能性がある点があります。
内乱罪の裁判の判決は来年2月ごろと見込まれていますが、現在の勾留期限は1月18日までとなっていて、判決が遅れた場合、内乱罪の裁判が終わる前に釈放される可能性もあります。
一方、逮捕妨害の罪で1月16日に実刑判決が言い渡され、拘束されれば、勾留期限満了による釈放は難しくなります。
このため、今回の初めての判決は、有罪・無罪の判断を超えて、今後の裁判の行方を左右する分岐点になるとみられています。
さらに、尹前大統領が在任中の去年10月ごろ、韓国軍に指示して無人機、いわゆるドローンを北韓の平壌に投入させ、北韓の挑発を誘導しようとしたとされる「外患」の罪をめぐる裁判でも、裁判所が新たに拘束令状を出す可能性が残されています。
この「外患」の罪に関する拘束令状の審問は、今月23日に行われる予定です。