生徒の学習水準に応じた教材を提供することを目的に、先の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が導入したAI=人工知能のデジタル教科書は、教育現場でほとんど使われていないことがわかりました。
監査院は17日、ことし3月から5月にかけて、AIデジタル教科書を自主的に導入した学校を対象に行った調査の結果を発表しました。
それによりますと、AIデジタル教科書を10日以上使用した生徒は平均で8%にとどまり、まったく使用していない生徒は60%に達しました。
また、教員からは、従来の紙の教科書を単にデジタル化した程度で、教育効果は大きくないとする回答が多く寄せられたということです。
監査院によりますと、韓国教育部は2023年、当時の教育部長官の指示を受け、2025年の全面導入を目標に事業を進めましたが、その過程で教員や生徒、保護者など、教育現場の関係者からの意見の聴き取りや、試験的な運用は行われていませんでした。
また、技術基準が整備されないまま教科書の検定を進めたほか、毎年数千億ウォン規模に上る購読予算についても、各市や道の教育庁との十分な協議を行わずに、地方教育財政で負担することを決めていたことが分かりました。
監査院は、AIデジタル教科書導入の政策決定について、個別の公務員の責任を問うことはしないとしつつも、違法行為や不正が確認された場合には、例外なく責任を追及する方針を示しました。