去年、地中海で沈没したロシアの貨物船が、北韓に供給される推進潜水艦用の原子炉を輸送していた可能性が、スペイン当局の調査で明らかになりました。
北韓がロシアのウクライナ侵攻を支援する見返りとして、核関連の軍事技術が移転されているのではないかとの見方が出ています。
フランス紙のル・パリジャンやウクライナの軍事専門メディアは29日、スペイン紙のラ・ベルダッドを引用し、ロシア貨物船「ウルサ・マヨール号」が原子炉を北韓へ運ぶ途中で沈没したと伝えました。
この船はロシア国防省傘下の軍需物流企業に所属し、去年12月、スペイン南東部カルタヘナ沖で沈没しました。
スペイン当局によりますと、積み荷とされていた「砕氷船用の覆い」は、実際にはロシア海軍の核推進潜水艦に搭載される原子炉の外殻だったということです。ただし、核燃料は積まれていなかったとみられています。
最終目的地は北韓のナジン港だったとされ、積載されていたクレーンなどは、港湾設備が十分でないナジンで原子炉を荷揚げする目的だった可能性があります。
沈没した時期は、北韓兵のロシア派兵が確認された時期と重なります。
一部の報道では、沈没の背景に第三国の関与を指摘する見方もありますが、確認された事実ではありません。
核推進潜水艦は、原子炉を動力とする潜水艦ですが、北韓への原子炉技術の移転そのものが国際社会では重大な安全保障上の問題と受け止められています。