北韓が、韓国の無人機が自国の領空を侵犯した証拠だとして公開した「偵察用の無人機」について、韓国の専門家からは、軍事用ではなく、市販の低価格ドローンとみられるという分析が出ています。
北韓は10日、朝鮮人民軍総参謀部の報道官声明で、韓国の無人機が去年9月と今月4日に北韓の領空を侵犯したと主張しました。墜落した無人機には監視用の撮影装置が搭載され、南西部の開城(ケソン)市や黄海北道(ファンヘブクド)平山(ピョンサン)一帯を飛行して重要施設を撮影したとしています。
また北韓は、無人機が、韓国で民間人の立ち入りが制限されている軍事境界線に近い地域から昼間に離陸し、韓国軍の監視体制をすべて通過したとして、「明白な偵察行為だ」と主張しました。
これに対し、北韓の労働新聞が公開した無人機の画像を分析した韓国の専門家は、軍事目的の機体とは考えにくいと指摘しています。統一問題を研究する国の研究機関、統一研究院の洪珉(ホン・ミン)先任研究員は、「公開された機体が中国メーカーの市販モデルと一致する」としたうえで、ドローン同好会や農業用などに使われる製品だと説明しました。また、安全保障分野の専門家とされる韓国国防安保フォーラムの辛宗祐(シン・ジョンウ)事務総長も、「インターネットで入手できる市販部品を組み合わせた構造に見える」との見方を示しています。
また、専門家の間では、開城や平山周辺は韓国の衛星でもすでに把握可能な地域で、軍事的な情報としての価値は高くないとして、韓国軍があえて無人機を投入する理由は乏しいという見方が出ています。
さらに、北韓が去年9月の出来事を今になって公表し、住民向けの労働新聞でも無人機侵入を大きく伝えたことについて、内部の結束を強め、韓国に対する批判をあおる狙いがあるとする分析もあります。
加えて、最近のアメリカの軍事行動を意識し、緊張の責任を韓国側に転嫁するとともに、核戦力の強化を正当化する政治的な意図があるとの指摘も出ています。北韓は、アメリカのトランプ政権がベネズエラのマドゥロ大統領を軍事作戦を通じて拘束したことを受け、「いまの国際情勢の中で、核抑止力の強化は避けられない」と主張していました。