Photo : Yonhap / Seoul Central District Court
一昨年12月の「非常戒厳」宣言をめぐり、内乱を首謀した罪で起訴された尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領に対し、特別検察チームが、法定最高刑となる死刑を求刑しました。1審の判決は、来月19日に言い渡される予定です。
ソウル中央地方裁判所で13日に開かれた公判で、内乱事件を担当する特別検察チームは、尹前大統領について、法定最高刑を科すべきだと主張しました。前大統領に死刑が求刑されるのは、およそ30年ぶりです。
内乱の首謀罪の法定刑は、死刑、無期懲役、無期禁錮の3つに限られています。
特別検察チームは最終意見で、「尹前大統領は、違憲かつ違法な非常戒厳によって、国会や中央選挙管理委員会の機能を損ない、国民の政治的自由や生命、身体の自由に重大な脅威を与えた」と述べました。
そのうえで、「民主主義は多くの犠牲によって守られてきた価値であり、権力維持の目的でこれを損なう行為は、二度と繰り返されてはならない」と強調しました。
また特別検察チームは、尹前大統領に刑を減軽すべき事情は一切ないとも指摘しました。
犯行について一度も適切に謝罪や責任を認めておらず、捜査や裁判の手続きにも誠実に臨んでいないとして、反省の姿勢が見られないとしています。
さらに、「最大の被害者は、独裁や権威主義に立ち向かい、犠牲を払ってきた国民だ」と述べ、「民主主義や法治主義など、憲法が保障する核心的な基本権が、内乱によって一瞬で崩れた」との認識を示しました。
非常戒厳の宣言によって国家の信認が低下し、消費心理が冷え込むなど、経済全体にも影響が及んだとしています。
死刑の求刑が示された瞬間、尹前大統領は、あきれたように笑ったということです。
また、傍聴席にいた支持者が暴言を発し、裁判長が静粛を求める場面もありました。
尹前大統領は、およそ90分にわたる最終陳述で、「警告的な戒厳だった」「内乱ではない」とする従来の主張を繰り返しました。
さらに、特別検察の起訴内容について「妄想や小説だ」としたうえで、「これほど多くの機関が一斉に捜査に乗り出すのは初めて見た」と述べました。
特別検察チームはこのほか、金容炫(キム・ヨンヒョン)前国防長官に無期懲役を、内乱関与の罪に問われている盧尚元(ノ・サンウォン)元情報司令官に懲役30年を、趙志浩(チョ・ジホ)前警察庁長に懲役20年を、それぞれ求刑しました。
今回の2回目の結審公判は、前日の午前9時半から翌日の未明まで、17時間にわたって行われました。
これにより、一昨年12月3日の非常戒厳宣言からおよそ406日を経て、内乱首謀事件の1審手続きがすべて終了しました。
今回の死刑求刑は、1996年の軍事反乱・内乱事件の裁判で、検察が全斗煥元大統領に死刑を求刑して以来、憲政史上2度目となります。