日本による植民地時代に起きた水没事故により、韓半島出身労働者と日本人の労働者あわせて183人が犠牲となった、山口県宇部市の海底炭鉱「長生炭鉱」で、遺骨を探すための潜水調査を行っていた50代の台湾人ダイバーが7日、死亡したと日本のメディアが報じました。
報道によりますと、この台湾人ダイバーは7日午前、潜水を開始しておよそ10分後の午前11時30分ごろ、けいれんを起こして病院に搬送されましたが、その後死亡が確認されました。NHKは、このダイバーが洞窟調査などに必要な専門技術を専門技術を持つ、経験豊富な人物だったと伝えています。
長生炭鉱では、1942年に坑内へ海水が流れ込む水没事故が発生し、韓半島から動員された労働者を含む多くの犠牲者が出ました。しかし、事故現場は海底に残されたままで、遺骨の多くがいまも回収されていません。
現地で遺骨の収集活動を行っている日本の市民団体「長生炭鉱の水非常(みずひじょう)を歴史に刻む会」は、今も海中に残されたままとなっている遺骨の返還を目指し、市民からの寄付をもとに発掘を進めてきました。
ことしは、日本のほか、台湾、タイ、フィンランド、インドネシアなど、海外から参加したダイバーが、今月3日から11日まで調査を行う予定でした。
台湾人ダイバーの死亡を受け、団体の井上洋子代表は8日、宇部市内で記者会見を行い、死因について「潜水開始から10分後、高濃度の酸素による酸素中毒を起こしてけいれんし、その際に呼吸器が外れて溺死した可能性が高い」と説明しました。
井上代表はまた、「遺骨を収容したいという思いが消えることはないが、今後どのように活動を続けていくのかについては、時間をかけて慎重に検討したい」と述べ、まずは亡くなったダイバーの遺族への支援を最優先にする考えを示しました。
これまで日本政府は、安全面への懸念などを理由に、潜水調査への支援に消極的な姿勢を示してきました。しかし、先月行われた日韓首脳会談では、両国の首脳が、遺骨の身元確認を目的としたDNA調査に協力することで合意しており、関係者の間では調査の進展に期待が高まっていました。
遺骨収集に向けた一連の捜索活動が始まって以降、死亡者が出たのは初めてです。今回の事故を受け、今後の捜索の行方は不透明な状況となっています。