北韓が4日に複数の飛翔体を発射したことについて、軍事専門家らは、北韓がアメリカとの対話再開を視野に、飛翔体の種類や射程などを慎重に決めたとの見方を示しています。
飛翔体発射後、北韓のメディアは、「今後も容赦なく反撃する」などと、過激な表現を使って報道していますが、こうした表現は英語版では削除されています。
北韓はまた、国連安保理による追加制裁をかわすことも念頭に置いたものとみられます。国連安全保障理事会は、短距離ミサイルについては、制裁の対象としていません。
さらに、北韓は、去年4月に中・長距離大陸間弾道ミサイルの試験発射を中止すると表明しており、この約束を守る姿勢を示すことで、対話復帰に向けた道を残す思惑があったものとみられています。
北韓が4日に発射した飛翔体について、ロシアが開発した短距離弾道ミサイルの「イスカンデル」を北韓が改良した地対地弾道ミサイルだとする見方が広がっています。
「イスカンデル」の最大射程は500キロとされています。北韓が発射した飛翔体は240キロ飛んだとされ、北韓が射程距離を抑えて発射したとすれば、制裁違反を避けながらも、ソウル全域と韓国軍の地上作戦司令部が置かれた京畿道龍仁を狙える射程距離にすることで、韓国をけん制する狙いがあるものとみられています。
こうしたなか、北韓の対外宣伝インターネットメディア「メアリ」は7日、先月22日から2週間にわたって行われた韓国とアメリカの空軍による合同空中演習と、韓米が「乙支フリーダムガーディアン」に代わって8月に実施するとされる新しい演習「19―2同盟」について、「南北宣言に違反する行為」だと批判しました。
北韓の対外宣伝メディアは、先月25日以降、連日のように、韓米合同軍事演習を批判しています。