韓国では、市中に流通する通貨量が初めて3兆ウォンを超えましたが、そのほとんどが不動産や株式などの資産に流れ込んでいるため、懸念が高まっています。
韓国銀行が公表した「4月の通貨および流動性資産」によりますと、現金通貨と預金通貨の「M1 (エムワン)」に、解約することでいつでも決済手段として使える定期預金などの金融資産を加えた「M2(エムツー)」は、3月より34兆ウォン増えて、3018兆6000億ウォンとなり、初めて3兆ウォンを超えたということです。
これは、新型コロナウイルスの感染拡大による景気悪化で企業と家計が資金繰りのため融資を受け、通貨量が大きく増えたためです。
各国の中央銀行のほとんどが、流動性を増やし、景気のテコ入れを図る緩和的通貨政策を取っていますが、韓国の場合は、こうして増えた通貨量が、投資や消費よりは不動産や株式などの資産に集中しているため、懸念が高まっています。
韓国銀行の関係者は、「経済危機の克服のため流動性資産を増やせば、新型コロナウイルスが終息するときにその流動性資産が不動産に流れ込み、不動産価格が高騰する可能性があった。そのため、感染の終息に合わせて流動性を回収する計画だったが、終息する前から不動産に流れ込むことは予想していなかった。状況を慎重に見守っている」と話しています。