徴用工問題をめぐって裁判所から韓国国内資産の現金化を命じられた三菱重工業が最近、最高裁にあたる大法院に提出した書類で、韓国政府の外交努力に言及し、最終的な判断の保留を求めたことがわかりました。
法曹界が4日、明らかにしたところによりますと、三菱重工業は大田地裁からの商標権や特許権の売却命令に反発し、先月20日と29日に、韓国政府の外交努力に言及し、最終的な判断の保留を求める上告・再抗告理由補充書を大法院に提出したということです。
三菱重工業側は、被害者の請求権に関する問題は1965年の日韓請求権協定で解決済みだとしたうえで、第3国を含む仲裁委員会で議論されるべき問題であり、韓国の裁判所が判断する事案ではないと主張したということです。
こうしたこれまでの主張に加えて、被害者への賠償問題をめぐる解決案が確定するまで、韓国司法府の売却命令の判断は保留されるべきだという趣旨の新たな主張も付け加えています。
また韓国外交部による官民協議会などが外交努力を傾けているとことにも言及しました。
法曹界では、三菱重工業が大法院の判断の保留を求めながら、自らが参加していない官民協議会に言及したのは異例だという見方を示しました。
三菱重工業はこれまで、被害者への賠償責任を全面的に否定してきました。
一方、外交部も三菱重工業が書類を提出した時点に前後して外交努力を強調する意見書を大法院に提出しています。
これに対して被害者らを支援してきた市民団体は、政府が被害者の権利を実現する手続きを遅延させようとしていると反発しています。