北韓が先週金曜日から3日連続で、韓半島西の海、西海(ソヘ)上で砲射撃を行ったことを受け、韓国軍は、軍事境界線付近での敵対行為を禁止した南北軍事合意について、西海上の効力は無くなったという認識を示しました。これにより、敵対行為の禁止区域は陸上だけになりました。
軍事的緊張の緩和を目的として韓国と北韓が2018年に結んだ南北軍事合意は、軍事境界線付近の地上、海上、空中での敵対行為を中止するという内容が盛り込まれていますが、去年11月に北韓が、この合意の破棄を宣言したなか、今回、海上での砲撃を続けていることから、韓国軍は、西海が実際に緩衝区域ではなくなったと判断しています。
韓国軍の合同参謀本部によりますと、北韓軍は、今月5日に、西海上にある韓国の延坪島(ヨンピョンド)と白翎島(ペンニョンド)の北側で、200発以上の砲撃を行いました。
翌6日には約60発、7日にも90発以上の砲撃を行ったということです。
合同参謀本部は、北韓軍が3日間で発射した砲弾はほとんど、西海上の境界線として設定されたNLL=北方限界線の北側に落ちたと説明しています。
韓国軍の高官は、「北韓が軍事合意の全面破棄を宣言し、海上緩衝区域内で砲撃を行ったことから、西海は軍事合意で定められた敵対行為の禁止区域がなくなった」と述べました。
一方で、韓国軍の対応としては、北韓軍の砲弾がNLLの南側に入ったり、北側であってもNLLに非常に近い地点に着弾したりした場合にのみ、対抗射撃を行う方針を明らかにしました。
韓国軍は、北韓による5日の砲撃のあと、海上で射撃訓練を行い対抗しましたが、6日と7日には対応しませんでした。
南北軍事合意の効力をめぐっては、昨年11月に北韓が軍事偵察衛星を打ち上げたあと、韓国政府が、軍事合意が敵対行為を禁じている陸・海・空の区域について、飛行禁止区域の効力を停止しています。
今回、韓国軍が西海も敵対行為の禁止区域ではなくなったという認識を示したことにより、禁止区域は軍事境界線の南と北側のそれぞれ5キロ区間の陸上だけになりました。