日本の中学校で来年の春から使われる社会科の教科書で、独島(トクト)に対する日本の領有権を主張する一方で、植民地時代の徴用と慰安婦をめぐる問題では、その強制性の記述を弱めたり省略したりするなど、歴史を正しく伝えていないとして、韓国政府が日本に対して強く抗議しました。
日本の文部科学省が22日に発表した中学校向け教科書の検定結果によりますと、今回、検定に通った教科書18点のうち、89%にあたる16点は、独島を日本固有の領土だと記述しています。
2020年の検定では、こうした記述があった教科書は全体の82%で、今回は7ポイント増えています。
また、18点の教科書のうち15点は、韓国が独島を「不法占拠」していると記述しています。
また、植民地時代の徴用と慰安婦をめぐる記述では、一部の教科書で強制性に対する表現を弱めたことに加え、強制性に対する言及を削除した教科書もありました。
ある教科書は、徴用問題に関して、2020年版では、「過酷な労働を強いられた」と記述していましたが、今回は「過酷な環境で働いた人もいた」という記述に変わり、強制性が弱められています。
また、慰安婦に関しては、「従軍慰安婦」という表現が削除された教科書もありました。
こうしたことを受け、外交部は22日、「日本政府が独島に対する不当な主張と、歴史的事実に合致しない主張に基づいて記述された教科書を検定で合格させたことに強い遺憾の意を表明する」という報道官名義の声明を出しました。
また、「慰安婦や強制徴用をめぐる問題に関する表現と記述が強制性を表さない形に変更された」として、「日本政府が過去の歴史に関する謝罪と反省の精神に基づいた歴史教育を真摯に実践していくことを促す」と求めました。
一方、外交部の金烘均(キム・ホンギュン)第1次官は、韓国に駐在する相星孝一大使を呼び、抗議しました。