国務総理室の公職服務管理官室の前身である公職倫理支援官室が、公務員ではない一般の民間人に対して権限のない違法な身辺調査をしていた事件で、事件を再捜査していた検察は、朴永俊(パク・ヨンジュン)前知識経済部次官(51)など5人を職権乱用罪や横領罪などで起訴し、捜査を終了しました。
ソウル中央地方検察庁の特別捜査チームは13日、蔚山(ウルサン)市や民間企業に対する違法な査察を指示した罪などで、朴永俊元次官、李仁圭(イ・インギュ)元青瓦台公職倫理支援官(56)、イ・ヨンホ元青瓦台雇用労使秘書官(48)の3人を起訴しました。
検察によりますと、朴永俊元次官は、2008年に蔚山に産業団地を建設する事業で、慶尚南道(キョンサンナムド)昌原(チャンウォン)市の会社から1億ウォンを受け取り、李仁圭元支援官に対して、この会社のライバル会社と蔚山市を査察するよう命じた疑いが持たれています。李仁圭元支援官は、この指示を受け公職倫理支援官室として蔚山市に対する監察を行った疑いが持たれています。
検察は、これに先立ってイ・ヨンホ元秘書官と、青瓦台の雇用労使担当秘書官室のチェ・ジョンソク元行政官(42)、国務総理室公職倫理支援官室のチン・ギョンラク元企画総括課長(45)の4人を証拠隠滅にかかわった罪で、拘束起訴しました。
検察の特別捜査チームは、朴永俊元次官とイ・ヨンホ元秘書官が公職倫理支援官室から査察内容の報告を随時受けるなど、今回の事件の指揮をとっていたことが捜査の結果判明したと発表しました。
朴永俊元次官は、ソウルの複合流通団地の許認可をめぐる政官界のロビー疑惑で崔時仲(チェ・シジュン)前放送通信委員長といっしょにあっせん収賄の罪ですでに起訴されています。
今回の再捜査では、査察という名目で違法な身辺調査をしていたと疑われる事例500件が確認されましたが、このなかには、日本の最高裁判所長官に当たる李容勳(イ・ヨンフン)大法院長、金文洙(キム・ムンス)京畿道(キョンギド)知事ら幹部公務員8人と、前職・現職の国会議員10人、前職・現職の地方自治体の長5人が含まれていました。
しかし検察は、朴永俊元次官が指示した違法査察などの3件を除いては、いずれも単純な動向報告に止まっていたため、関係者の処罰はしないとしています。
検察は、ことし3月、公職倫理支援官室のチャン・ジンス元主務官(39)が、違法査察の証拠隠滅を命じられて数千万ウォンを受け取ったと暴露したことから、3か月間、この事件の再捜査を行ってきました。
検察は、朴永俊元次官など5人を起訴することで捜査を終了しましたが、青瓦台の民政首席秘書官室など上層部が関わっているとする疑惑を究明することができなかったため、不十分な捜査だとする非難を受けることは避けられない見通しです。