1987年に起きた大韓航空機爆破事件で、実行犯の金賢姫(キム・ヒョンヒ)元北韓工作員をアメリカが事件直後に直接取り調べ、北韓の工作員と結論付けていたことが、アメリカ国務省が先月11日に公開した秘密文書から18日明らかになりました。
それによりますと、ソウルのアメリカ大使館は1988年2月に本国に報告した電文で、アメリカ当局者が事件直後に直接金賢姫元工作員を取り調べ、アメリカ情報当局が確保していた北韓工作員26人の写真を確認させたところ、金賢姫元工作員は、ヨーロッパで接触した3人を指し示したということです。
アメリカは、これを根拠に、金賢姫元工作員が北韓のために動いていると判断したということです。
また、アメリカは、金賢姫元工作員が事件の翌年に記者会見した際の声紋を分析し、イントネーションと語彙が典型的な北韓の人のものだと結論付けていたこともわかりました。
さらに、文書には、アメリカが、1988年のソウルオリンピックなどを控え、当時の全斗煥(チョン・ドゥファン)大統領が報復しないことを決めたことを歓迎したという内容も記されています。
今回公開された外交文書は、3回にわたって行われた国務省の内部審査で、2023年以降に公開することが決まっていた文書で、アメリカは、今回11年も早く公開した理由については説明していません。
この事件は1987年11月、乗客・乗員115人を乗せてバグダッドからソウルに向かっていた大韓航空ボーイング707型機が北韓の工作員によって空中で爆破され全員が死亡したもので、日本人に偽装した男女2人が逮捕され、このうち男性は劇薬で自殺し、女性の金賢姫工作員が韓国当局に逮捕されました。