中国が東シナ海の広い範囲に防空識別圏を設定したことに対応して、韓国政府は、韓国の防空識別圏を今月15日から、ICAO=国際民間航空機関が設定した韓国の飛行情報区域全域に拡大する方針を発表しました。
これは、国防部の報道官が8日午後、記者会見して明らかにしたものです。
拡大される韓国の防空識別圏には、中国と日本が防空識別圏を設けている離於(イオ)島のほか、いずれも日本の防空識別圏に含まれている韓国南部の馬羅(マラ)島と鴻(ホン)島空域も含まれています。
これらは、いずれもICAO=国際民間航空機関が設定した韓国の飛行情報区域内にあります。
中国が先月23日に発表した中国の防空識別圏は、済州島の西側の上空で、韓国の防空識別圏と幅20キロ、長さ115キロの区域で重なっているほか、韓国が管轄権を行使する暗礁の離於島上空も含まれています。
このため韓国は中国に対して防空識別圏の範囲を変更するよう求めましたが、中国はこれを拒否し、韓国は6日に国家安保政策調整会議を開いて防空識別圏の拡大を決めたものです。
国防部では、「防空識別圏の拡大は、国際航空秩序に沿ったもので、外国の民間航空機の運航には影響を与えないほか、周辺国の領空を侵害するものではない」としています。
また、韓国の新たな防空識別圏内での偶発的な軍事的衝突や、航空機の安全運航に必要な措置については今後さらに関係国との間で協議を継続していく方針を強調しました。
韓国戦争中の1951年にアメリカ太平洋軍司令部が設定した韓国の防空識別圏が変更されるのは初めてで、官報に掲載されるなどして、15日から効力を発することになると、国防部では説明しています。