朴槿恵(パク・クネ)大統領は16日の閣議で、「セウォル号特別法案をめぐる議論は本質から外れているとして、純粋な遺族の気持ちを政治的に利用することがあってはならない」と述べました。
そしてこの問題は、大統領が決断する事案ではないとしたうえで「セウォル号特別法案の修正案は、与党の権限を放棄した最終的な決断だった。沈没の真相を解明するために新たに発足する真相調査委員会に捜査権と起訴権を付与するなどの要求は、三権分立と司法体系の根幹を揺るがすものだ」と強調しました。
沈没事故の原因究明と遺族への補償を定めるセウォル号特別法案は、与野党の再協議によって特別検事の候補推薦委員会の国会議員4人のうち、与党から選ばれる2人について、事故の犠牲者遺族と野党の事前同意を受けることとする修正案がまとまり、事実上、遺族に特別検事の推薦権を付与することになっていました。
しかし、この修正案についても遺族や野党の一部議員は、事故の真相を究明するにはなお不十分だとして依然として反対しており、大統領に決断を求める声も出ていました。
朴大統領の閣議でのこうした発言は、今後与党セヌリ党のガイドラインになるとみられ、この法案をめぐる与野党の3回目の協議が行われても、歩み寄りの余地は少なく、与野党の対立はさらに長引くことが予想されます。