朴槿恵(パク・クネ)政権の「陰の実力者」とされるチェ・スンシル氏が、大統領の演説文を事前に提供されていたという疑惑が報じられ、波紋が広がっている中、チェ氏が国政に関与した事例が相次いで報じられています。
疑惑を報じたケーブルテレビの総合編成チャンネル「JTBC」が、チェ氏が使用していたコンピューターを分析した結果、チェ氏が朴大統領の演説文を修正しただけでなく、国家機密文書から大統領府青瓦台および政権移行作業チームの人事まで、広範囲にわたって介入したという状況が次々と浮かび上がっています。
その中で、朴槿恵氏が次期大統領に当選直後の2012年12月28日に予定された、当時の李明博(イ・ミョンバク)大統領との面談を前に作成された文書には、朴槿恵氏が用意した質問が書かれており、特に、外交安保懸案に関する内容の中には、 朴槿恵氏の「南北間で何か接触があったのか」という質問の下に、「最近、韓国軍が北韓の国防委員会と3回にわたり秘密裏に接触した」という補充の説明が書かれていたということです。
当時は、北韓の潜水艦による魚雷攻撃で韓国海軍の哨戒艦「天安(チョナン)」 が沈没したことで、南北間の公式的な対話は中断しており、2012年に南北間で接触があったということは、機密事項でした。
こうしたことが、チェ氏のコンピューターから明らかになったということは、これまで提起された疑惑の中でももっとも深刻なものです。
チェ・スンシル氏をめぐっては、大統領府青瓦台の関与で大手企業が資金を拠出し設立した文化・スポーツ支援財団を私物化したという疑惑が浮上しています。
問題の深刻性を受け、与党内でも朴大統領の離党と内閣の総辞職を要求しています。
野党は、特別検事制度を推進すると同時に、国会の国政調査を行うべきだと主張しています。大統領は憲法上、在職中には刑事訴追を受けないため捜査対象から除外されますが、このためにも国政調査が行われるべきだとしています。
朴大統領が一連の疑惑を認めて謝罪した25日以降、インターネットで「弾劾」や「下野」が検索キーワードで上位にのぼるなど、国民の批判の声が高まっている中、朴大統領のこれからの国政運営に対する不安の声が上がっています。