スライディング・そり
2018-01-22

平昌冬季五輪便り


オリンピックではボブスレー・スケルトン・リュージュの3種目が行われ、スライディング・トラックをすべり一番早い記録の選手が優勝するという記録競技で最高時速150kmにも達するというスピード感あふれる競技です。
そしてアジアでは時速130km以上の高速を出せるスライディング競技場は日本の長野と韓国の平昌の2か所だけです。
3種目の中からまず、ボブスレーは、自動車に似た形の特殊なそりに乗り氷が張ったコースを滑走します。男子の二人乗りと四人乗り、女子の二人乗りの3つのメダルがかかっています。
残りの2種目、スケルトンとリュージュはそりに乗る姿勢が違うだけです。頭を進行方向に向けてうつ伏せの姿勢で乗るのがスケルトン、足を前方に向けて仰向けの姿勢で乗るのがリュージュです。速度はリュージュのほうが少し速いそうです。
スケルトンは男子一人乗り、女子一人乗りの2つのメダルが、リュージュは男子シングル、女子シングル、男女の区別無しのダブル、そして男女シングルとダブルの記録を合わせたチームリレーの4つのメダルがかかっています。
それでは韓国人初のそり種目のオリンピック選手として長野オリンピックから4大会連続でオリンピックに出場してきたカン・グァンベ教授のお話です。



韓国に正式にルージュが導入されたのが1994年、スケルトンは2005年でした。そしてボブスレーは江原道庁が2003年に実業団チームを作り、その時に 2人乗りから始まりましたが、本格的に始まったのは2006年だったといえます。
最初に私がルージュで長野オリンピックに出た時は本当に何もない状況でした。韓国には競技場はもちろんルージュ用のそりもありませんでした。それで普通のそりに車輪をつけてアスファルトのうえで訓練をしました。
2002年のソルトレークオリンピックの時も同様でスケルトンは20位でした。バンクーバーオリンピックでは
ボブスレーの4人乗りに出場し19位となりましたが、これがオリンピックの歴史上アジア選手では最高の成績だということです。


そんな不毛の地だった韓国ですが、今回のオリンピックは違います。エースがいるのです。韓国選手団の中で最も有力なメダル候補といわれる、現在世界ランキング1位のユン・ソンビン選手、男子スケルトンに出場します。
ユン・ソンビン選手は今シーズン7回のワールドカップで金メダル5個、銀メダル2個を獲得しています。そり競技では、大会競技用のトラックで一番たくさん練習をしてきた開催国の選手が有利だと言われます。ユン選手のメダルの可能性について、カン・グァンベ教授です。



ユン・ソンビン選手はそりを操縦する能力、そりに乗る技術などすべて境地に達しているといえるほどです。ですからユン選手がメダルをとれば、冬季オリンピックの歴史上はじめてのスライディング・そり種目でのメダルとなるでしょう。それはアジアで初めてでもあり、大きな意味があります。またボブスレー種目ではウォン・ユンジョン選手とソ・ヨンウ選手が世界トップクラスの選手です。2016年のシーズンで世界ランキング1位になったこともあるボブスレーです。期待できると思います。

このような短い期間に韓国に世界的な選手がでてきた理由はなんでしょうか。ユン・ソンビン選手、ウォン・ユンジョン選手、ソ・ヨンウ選手を発掘して育ててきたカン・グァンベ教授のお話です。



運動を上達するために最も重要なのは選手一人一人の運動能力、そして二番目は訓練環境です。
平昌オリンピックの誘致と合わせて練習場もでき、誘致した後には競技場もできました。選手たちが思いっきり練習できる環境が出来上がったのです。
3番目は財政的な部分です。国内での訓練だけでなく国際大会に出場したり、海外での訓練なども出来るようになりました。財政的な後押しにより海外の実力のある外国人コーチも招くことができました。 このような要素が3拍子そろって、大きな成果を作り出してきたといえます。


はたして韓国選手がスケート競技以外で初めてのメダルを、スライディング・そり種目で取ることができるのか。楽しみです。

(Photo : Yonhap)
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