ショートトラック女子500m決勝
2018-02-15

平昌オリンピック便り


韓国のチェ・ミンジョン選手はイタリアのアリアナ・フォンタナ選手とほど同時にゴールし、金メダルか、だめでも銀メダルだとテレビを見ていたすべての人々が確信していました。
ところが、しばらくして電光掲示板に示された結果は衝撃的なものでした。
チェ・ミンジョン選手、試合途中でほかの選手を押したと判定されペナルティを受けて失格となってしまったのです。

試合直後のインタビューでチェ選手は差し出されたマイクの前でまず

「審判の判定ですから、それでも後悔のない結果を出せて満足です。一生懸命に準備してきたので、結果については後悔すまいと決めていたので結果は謙虚に受け止め、残りの種目に集中します。私は後悔していませんが、多くの方に応援していただき、その期待にこたえる事が出来ず、申し訳なく思っています」
と答えました。

さらに残りの試合にはどのように臨むつもりですかという質問には
「今後1500mを控えているので、1500mが主種目なので、自信をもって臨みたいと思います。残りの種目、1000mもリレーも集中して、良い姿をみせられるように努力しますから、これからも応援と関心をお願いします』

と答えていました。KBSの解説委員もそんな彼女をみて、「普段からクールな性格で強い精神力をもっているので大丈夫でしょう」と言っていました。
絶対に悔しくないはずはないのに、出されたマイクに対して淡々と答えていた19歳のチェ選手。さすがに国家代表になるだけのことはあるなとつくづつ思いました。



キム・ミンソクが銅メダル獲得 スピードスケートの男子1500m

13日、スピードスケートの男子1500mで銅メダルに輝いたキム・ミンソク選手は、この種目で韓国に初めてのメダルをもたらしました。アジア勢としても初めてのメダルです。
キム選手は今回が初めてのオリンピック、そしてこの1500mがオリンピックデビュー戦でした。キム選手は小学校1年のときにショートラックでスケートを初め、その後スピードスケートに種目を変え、16歳だった2014年に最年少の国家代表になるほど、幼い頃から頭角をあらわしてきたエリート選手でした。そんなキム選手について元国家代表のチェガル・ソンリョルさんは
「キム・ミンソク選手は平昌オリンピックのマスコットのスホランのように勝負欲の強い選手です。すばらしい努力家ですし、誠実に練習する選手でもあります。スピードスケートの1500mはヨーロッパ選手の独断場でした。無酸素状態で持久力を発揮するきつい種目です。彼が銅メダルをとったことで、この種目でアジア選手も勝てることが証明され、その意味も大きいと言えます」

キン・ミンソクの選手の座右の銘は「後悔無しに」だそうです。まさに後悔の無いレースでした。



韓国に帰化した選手たち
今回の平昌オリンピック、韓国は帰化選手が多く5種目に19人の選手が出場します。
種目別にはアイスホッケーが一番多くて男女合わせて10人、バイアスロン3人、アイスダンス1人、リュージュ1人などです。国別にはカナダ国籍の選手が8人で一番多く、
以下、アメリカ5人、ロシア4人などの順です。特に男子のアイスホッケーは 25人の代表選手のうち7人が外国出身です。これについて平昌オリンピックの関係者は

「アイスホッケーでは国籍を移して大会に出場することが一般化しています。韓国の成人選手は200人程度と貧弱なので、国際アイスホッケー連盟が持続的に外国選手を受け入れるよう勧告したりもしました」

と語っています。
大韓体育会(韓国オリンピック委員会)は2010年から体育分野の優秀な人材を特別帰化を通じて積極的に受け入れてきました。
帰化すれば通常は元の国籍を失効するものですが、特別帰化では元の国籍を放棄しなくて済みます。そのため、オリンピック後には自分の国に帰ってしまうのではないか、それぞれの分野である程度の実力のある選手とは言え、自国では代表になれなかった選手、果たしてメダルに手が届くだろうか、と言った否定的な意見も聞こえてきます。
しかしリュージュ女子のエイリン・ブリシェ選手は13日のリュージュ女子一人乗りで、3分06秒400を記録し堂々と7位となりました。ブリシェ選手は2012年の世界ジュニアで2冠を獲得した選手です。

フィギュアスケート団体戦に出場したアイスダンスのカップル、ミン・ユラ、アレクサンダー・ガメリン組。このチームも実は帰化選手です。ミン・ユラ選手は。在米韓国人でアメリカ国籍を放棄して出場、ガメリン選手は特別帰化した選手です。
二人はアメリカで幼い頃から同じコーチの下でスケートを学び,2015年からペアーを組んでいます。11日の団体戦ではユラ選手の衣装が途中ではだけるというハプニングに見舞われ成績は9位でしたが、最後まで息のあった演技を見せていました。

もちろんメダルを取るためという意味はあるものの、ウインタースポーツの底辺の狭い韓国ではこのような特別帰化選手の活躍を通じて人々の関心を高めるという意味も大きく、そういう意味では成果をあげているようです。
また13日のスノーボード女子ハーフパイプで金メダルをとったクロエ・キム選手は韓国系アメリカ人、フィギュアスケートの女子シングルの長洲未来選手は日系アメリカ人です。彼女たちを見ていると国籍はアメリカでも思わず応援したくなりますよね。オリンピックは国と国との対戦ではあるものの、一生懸命に打ち込む選手たちを見ていると国籍なんてどうでもいい、とにかくがんばれと思ってしまいます。

(Photo : Yonhap)
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