旧暦のお盆、秋夕(チュソク)には日本のお中元と同じように、贈り物を贈る習慣があります。缶詰のハムのスパムは、秋夕の贈り物として人気のある品のひとつです。
スパムはアメリカのホーメル食品が1937年に販売を始め、韓国では1950年、韓国戦争後にアメリカ軍部隊周辺を中心に広まりました。今年初め、アメリカのインターナショナル・ニューヨーク・タイムズが出した韓国人のスパム好きについての記事で、「韓国戦争直後、韓国で肉を手に入れられる唯一のルートは米軍基地の売店(PX)で、闇市場で取引されるPXの食品(スパム)とキムチを使ってつくられたのがブデ(部隊)チゲ」だと紹介しています。
こうした歴史を背景に根強い人気を集めてきたスパムは、CJ第一製糖がホーメル社と技術提携を結び、1987年から、韓国国内でつくられるようになりました。それ以降、缶詰ハムの市場で50%近いシェアを占めるなど、高速成長を続けてきました。ちなみに、スパムをつくっている国はアメリカ以外ではデンマークと韓国だけです。
いまは1950年代とは違い、新鮮な肉類は豊富ですし、健康志向が強くなり、ハム類はあまりヘルシーではないという認識もあります。ですから缶詰ハムの市場も成長が鈍化するのではないかという見方もありましたが、それでも、この10年間でスパムの販売量は4倍に増えました。去年1年間で、およそ2万トン、7500万個が売れています。CJ第一製糖では、スパムの根強い人気の秘訣について、「韓国人の口に合わせて塩分を控えめにするとともに、厳しい品質管理を行っている」と話しています。韓国固有の歴史に根付いた味だという点が一番の理由ではないかと思います。CJ第一製糖では、最近、若い世代をターゲットにしたマーケティングを盛んに行っているということです。
イギリスBBCは去年、「アメリカに次いで世界2位のスパム消費国の韓国では、お正月やお盆の贈り物としてスパムが人気」だと伝えました。実際、今年の秋夕にも、CJ第一製糖は、スパムの詰め合わせなど56種類のスパムセット、310万セットを販売するとしています。値段は3万ウォン台から8万ウォン台です。市場調査機関のニールセンコリアによりますと、スパムは2004年の秋夕からこの10年間、缶詰ハム部門で贈り物1位の座を守っているということです。