第22話 ドラマ『旅屋おかえり』と韓国地方都市の魅力について
2025-08-27
#インタビュー : ソウル大学 国語國文學科 パン・ミノ教授
小説のタイトルとは裏腹に、キム・チョムジにとってその日は人生最悪の一日となります。この反転のあるタイトルは作家、玄鎮健(ヒョン・ジンゴン)のウィットと言えるでしょう。また、読者に「運の良い日」がどんな風に展開されるのか興味を持たせ、先を読みたくなる効果もあります。
玄鎮健(ヒョン・ジンゴン)の短編小説「運の良い日」は、1920年代のソウルを背景に、人力車を引く車夫、キム・チョムジの一日を描き出しています。そのタイトルのように、その一日は主人公、キム・チョムジにとってとても特別な日でした。
____
つんと澄ました空模様が
雪が降りそうだったが、
雪は降らず、凍りかけた雨がじめじめと降る日だった。
この日こそ、東小門(トンソムン)の中を走る人力車夫の
キム・チョムジにとって久々に訪れた運の良い日だった。
それこそ運が悪く、10日近くお金をおがむこともできなかったキム・チョムジは
10銭の白い銭が3枚あるいは5枚がちゃらっと手のひらの落ちる時、
ほとんど泣き出しそうなくらい嬉しかった。
새침하게 흐린 품이 눈이 올 듯하더니
눈은 아니 오고 얼다가 만 비가 추적추적 내리는 날이었다.
이날이야말로 동소문 안에서 인력거꾼 노릇을 하는 김첨지에게는
오래간만에도 닥친 운수 좋은 날이었다.
그야말로 재수가 옴 붙어서 근 열흘 동안 돈 구경도 못한 김첨지는
10전짜리 백동화 서 푼 또는 다섯 푼이 찰깍하고 손바닥에 떨어질 제
거의 눈물을 흘릴 만큼 기뻤었다.
朝からキム・チョムジを押さえつけていた不安の正体が
明かされました。漠然と恐れていた結末です。
____
生きている人の目から落ちた大粒の涙が
死んだ人の固くなった顔をまだらに塗らす。
ふと、キム・チョムジは気が触れたように自分の顔を
死んだ人の顔にこすりつけながらつぶやいた。
「ソルロンタンを買っておいたのに、なぜ食べられない。なぜ食べられないんだ。
妙なほどに今日は!運が、良かったと思ったら...」
산 사람의 눈에서 떨어진 닭의똥같은 눈물이
죽은 이의 뻣뻣한 얼굴에 어룽어룽 적신다.
문득 김첨지는 미친 듯이 제 얼굴을 죽은 이의 얼굴에 한데 비비대며 중얼거렸다.
“설렁탕을 사다놓았는데 웨 먹지를 못하니, 웨 먹지를 못하니.......
괴상하게도 오늘은! 운수가, 좋드니만........
「運の良い日」と言っていたその日、妻の死を知らないまま
駆けずり回っていたその日は、キム・チョムジにとって
もっとも不幸な日だったのです。
作家 : 玄鎮健(ヒョン・ジンゴン)は1900年、慶尚北道(キョンサンブクト)大邱(テグ)で生まれました。東亜日報の記者としても活動していた1936年、ベルリン・オリンピックでマラソンのソン・ギジョン選手の優勝を報じる写真から日本の国旗を削除した事件で逮捕され、1年間、投獄されたこともあります。
1924年6月に発表された短編小説「運の良い日」は、玄鎮健(ヒョン・ジンゴン)の作品世界を代表する作品であり、韓国文学史に大きな足跡を残す作品として評価されています。
2025-08-27
2025-08-21
2025-08-18