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龍
韓国文化シリーズ第44回の今日は、“龍”というテーマで韓国文化を探っていきたいと思います。

世宗大王によって作り出されたハングル文字。世宗大王のハングル発布後、大王は自ら、ハングル文字でヨンビオチョンガ(龍飛御天歌)という歌を作ったといいます。このヨンビオチョンガは漢字で“龍”が“飛”ぶ“御”“天”と書き、龍が登り、天を手本とし正しく進むという 意味を持つ言葉だといいます。先祖たちが長い間、厳しい状況を乗り越え苦労を重ね、朝鮮王朝の建国にこぎつけたという過程を振り返り、その子孫たちに、こうした先祖の意思を受け継ぎ、正しい道い導いていくように、という教訓の内容が込められているということです。ヨンビオチョンガは125章からなる長い歌なのですが、その最初の一節は、“わが国には、6匹の龍が登っているため、どんなことでも、それは全て天が下さる福である”といった内容になっています。この6匹の龍とは、朝鮮王朝を建国させた初代王の太祖(テジョ)と、国の土台を固めた、3代目の王、太宗(テジョン)、さらに、初代テジョから遡ること4代までの祖父の合わせて6人を指しているということです。世宗はこの歌の歌詞をもとにしてヨミンラク(與民樂)という曲も自ら作曲しており、このメロディーは今日まで伝えられています。

東洋では龍は王様を象徴する動物として考えられてきました。そのため、王の顔は龍の顔と書いて、ヨンアン、王の徳を語る際は、龍の徳と書いてヨンドク、さらに、王が腰掛ける場所は龍の床と書いてヨンサン、王の衣服は龍の袍(ほう)と書いてヨンポと呼ばれていました。さらに、中国の古代の文献の中にも龍に関する説明があります。簡単にご紹介しましょう。“龍はうろこを持つ動物の筆頭である。時によって目に見えたり見えなかったりし、細くなったり大きくなったりする。また長くなったり短くなったりすることもできる。春分には天に昇り、秋分になると池に沈んでいく。”こうした文献から見ると、その姿はヘビの体に魚のうろこをつけ、ラクダの頭に鹿の角、ウサギの目、牛の耳を持っていたとされています。さらに、トラの足に鷹の爪がついていたとも言われています。昔の絵に登場する龍の姿は、こうした説明を元に描かれたものだということがわかりますよね。龍は水をつかさどる神と考えられてきたため、かんばつの時には龍を描いて雨が降るよう祈ったということです。また海岸沿いの村では、今でも大漁を祈るクッを行う際は、竜王を祀ってヨンワングッを行うんだそうです。

続いては、やはり龍の登場する、パンソリ、スグンガをお聞きいただきたいと思います。スグンガに出てくる、南海をつかさどる竜王は、実は病におかされています。この竜王の病を治すための薬となる、うさぎを、スッポンが陸地に行って捕まえてくるようにとの命を受けるのですが、その過程で待ちかまえている様々な出来事を滑稽に表現しているのが、このスグンガなんです。
龍は実は、古代、西洋の文化の中にも登場しています。けれど、その姿や役割は、東洋の龍のイメージとは全く異なるんです。西洋の龍、ドラゴンはトカゲのような体にこうもりの翼を持っていました。また、東洋のように水を司る神として、人々の生活に利益をもたらす神ではなく、口からは炎を吐き、英雄を苦しめる悪党として登場します。こうして見ると、東洋の龍と西洋の龍は、その名前が同じであるというだけで、実際は全く別の動物とみなすことができるかと思います。こうした西洋と東洋の龍をミックスしたような動物が、インド神話の中に“ナガ”という名で登場します。頭がいくつもあり、まるでコブラのような姿のナガ。温厚なナガは大抵、水と関連して登場するのですが、悪いナガは炎を吐く力を武器としているという点が、興味深いですよね。

♬ ヨミンラク(與民樂)
♬ スグンガ(水宮歌)の中から、竜王が病に侵される過程
♬ スリョンウム(水龍吟)

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