星座を探すのが苦手な人でも、北斗七星なら一目で見つけられます。青銅器時代の支石墓コインドルや、高句麗の古墳の壁画にも北斗七星が描かれています。昔の人々にとって北斗七星は、単なる星座ではなく、信仰の対象だったことが分かります。人間の運命は空にあると信じていた時代、夜空を見上げると目に入る北斗七星は、人間の寿命と運命をつかさどる存在であり、雨を降らす神でもありました。雨が降ってこそ豊作になり生活も豊かになったので、財物の神でもありました。昔の母親たちは、毎朝かめの前に水を備えて、北斗七星に対し家族の平安を祈ったものです。人々がどれほど北斗七星に頼っていたのか、韓国に仏教が入ってくると、お寺に七つの星の小堂があったほどです。今日の最初にご紹介する曲は、恋しい人に会った女性が、この夜が少しでも長く続くよう、北斗七星に祈る内容の歌です。チョン・マリさんの歌で、「별을 보다、星を見る」という曲をお楽しみください。
お米と麦は見た目は似ていますが、育て方は大きく異なります。例えば、お米は春に種をまいて秋に収穫しますが、麦は冬を越して収穫します。秋に種をまき、翌年の春に収穫するのです。二十四節季では芒種、陽暦にしては6月6日ごろに麦の収穫を終えるといいます。昔は麦を刈り取ると、庭に広げて木の棒で叩き、粒を取り出す作業をしました。朝鮮時代の学者、チョン・ヤギョン先生は、マッコリと麦のご飯で力をつけ、暑い中でも麦打ちをしている人々の様子を詩で記録しました。詩の中では「ヘヤ、ヘヤ」と掛け声をかけています。この掛け声と同じように、実際の麦打ちの歌でも「オンヘヤ」と掛け声をしています。ところが、麦打ちの歌も、地域ごとに差があるんです。まず。全羅南道(チョルラナムド)の莞島(ワンド)に伝わる歌は、大変な作業をしながらも心が温かくなるような歌詞が印象的です。一方、慶尚北道(キョンサンブクト)の青道(チョンド)に伝わる歌は、方言が強いのが特徴です。それでは、今日は、慶尚北道の麦打ちの歌をお聴きいただきます。キム・オドンさん、チェ・ジョンドゥクさん他、みなさんの歌で、「보리타작소리、麦打ちの歌」という曲です。
この慶尚北道に伝わる麦打ちの歌をもとに、専門の歌い手が舞台の公演用にアレンジしたのが、民謡「オンヘヤ」です。地方の民謡に比べてテンポが速く、にぎやかなのが特徴です。それでは、今日の最後は、カヤグム三重奏団「カヤミ」の演奏で、「オンヘヤ」という曲をお楽しみいただきながら、お別れしたいと思います。