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「ホムガ」ほか

#国楽の世界へ l 2025-08-05

国楽の世界へ

「ホムガ」ほか
畑には、作物を植えるために土を盛り上げて高くした畝と、その間の溝があります。水は溝を流れ、人もその溝を通って作物の手入れをします。溝は深く掘ることが大切で、溝ごとに福が宿るという言葉もあります。しかし、どんなに立派に整えた畝と溝でも、年が変われば新しく耕します。こういうことから、畝が溝になり、溝が畝になる、ということわざもあるんです。人が築いた地位や状況はいつでも変わり得るという教訓です。苦しい時期を過ごす人には希望を、得意になっている人には謙虚な姿勢を教えてくれる言葉です。畝と溝からも人生の知恵を学ぶことができます。このような思いを込めて歌われたのが、西道(ソド)地方の民謡、鍬の歌です。鍬は韓国語でホミと言いますが、その方言はホムです。キム・ギョンベさんの歌で、鍬の歌という意味の西道の民謡「ホムガ」という曲をお楽しみください。

暑ければ暑いほど稲はよく育つものの、同じように雑草もよく育ちます。だからこそ、何度も繰り返し草取りをします。田んぼの端から始め、草取りを一通り終えても、また最初の場所はすでに新しい草が生えているものです。三度ほど繰り返し、ようやく秋の収穫にたどり着くとも言われます。こうした作業の中で力になるのは、一緒に働く仲間と交わす歌声です。今度お聞きいただくのは、全羅南道(チョルラナムド)珍島(チンド)の草取りの歌、「チョルロソリ」という曲です。作業の最中に自然に口から出る歌という意味の単語から由来した名前だそうです。キム・ハンギュさん、イ・ヨンジャさん、パク・ドンメさんの歌でお聴きください。

韓国では音楽といえば、一般的には西洋の音楽を指すことが多く、伝統音楽は国楽と呼ばれます。国楽がより狭いジャンルであるかのように呼ばれるのは、少し残念に思えます。しかし、最近は、国楽と西洋の音楽の区分があいまいになりつつあり、お互いに影響しながら発展しているようです。時代をさかのぼれば、高麗時代にも中国から伝わった音楽がありました。中国の宋の時代には、楽器や楽師、そして、楽譜が伝わってきたと言います。その中のひとつが、今も演奏されている宮中音楽、「ポホジャ」という曲です。「ボホジャ」は、虚空を歩くという意味です。元々は、道教の儀礼音楽で、神仙が天に向かって歩く様子を音楽で表現したものでした。この曲は、約一千年の間、宮中の重要な儀式で演奏されました。長い歳月を経て、中国の色合いはほとんど消え、韓国固有の音楽として定着しました。天のめぐみで天下が太平に満ちている中、杯を掲げて、王様の長寿、国の平安、そして、太平な時代が末永く続くことを願うという歌です。今日の最後は、国立国楽院の正楽(チョンアく)団による演奏で、「ポホジャ」という曲をお聴きいただきながら、お別れしたいと思います。

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