鳳凰は、想像の中の鳥です。世の中が太平で、徳のある君主が国を治めるときだけ姿を現すと言われています。韓国の大統領を象徴する模様にも、鳳凰が用いられています。古来、鳳凰は、桐の木にだけ宿り、竹の実しか食べないとされてきました。そのため、昔の学者ソンビは、理想の君主が現れることを願い、鳳凰が来るのを待ち望んでいたといいます。そういう想いで、書斎のそばに桐の木を植えたと言われています。ところが、理想と現実は異なるものです。どんなに高潔なソンビでも、時には愛しい人を想い、心が揺れることもありました。そんなとき、桐の葉に降り注ぐ雨の音は、孤独をより一層深めるものでした。今日の最初の曲は、そのような気持ちを桐の木に託した歌、「オドンエ」という曲です。キム・ナリさんの歌でお聴きください。
季節はまだ真夏ですが、もう立秋が過ぎました。暑い中でも、秋の気配がかすかに感じられるかもしれません。次にご紹介する、「サチョルガ」は、人生を四季に例えて歌う曲です。いつまでも若くいられると思っていても、その時期はあっという間に過ぎ去り、やがて歳をとります。人生も春夏秋冬のようであると歌っています。だからこそ、後悔のないように今を楽しみ、風流を味わおうということです。キム・ジュンスさんの歌と二番目の月の演奏で、四季の歌「サチョルガ」という曲をお楽しみください。
コムンゴの独奏曲「スリジェ」という曲は、作曲家であり、コムンゴ奏者でもあるチョン・デソクさんが1984年に作曲した曲です。この曲のタイトル「スリジェ」は、彼の親友でチベット文化の研究者でもあるキム・ギュヒョンさんが暮らしていた、江原道(カンウォンド)ホンチョンの2階建ての家の名前から付けたものです。コムンゴの独奏曲「スリジェ」は、第1楽章は風景、第2楽章は趣き、第3楽章はお茶の香りで構成されています。草ぶき屋根を覆うカボチャのつる、煙突から立ち上がる煙、川辺の小さな渡し舟、そんな日常の風景を描いています。そして、お茶のお湯を沸かし、絵を描きながら、自然とともに過ごすといった、静かな暮らしを描いた曲です。重厚でありながら、どこか静かで穏やかなコムンゴの音色が、心に深く染み入る曲です。それでは、今日の最後は、作曲家チョン・デソクさんの演奏で、「スリジェ」という曲の第1楽章と2楽章をお楽しみください。